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2020年09月09日
賃貸借契約とは、住宅を貸して賃料をもらうことを約束する契約であり、
民法606条において、「賃貸人(大家さん)は賃貸物の使用・収益に必要な修繕をなす義務を負う」と定められています。
つまり、原則として賃貸住宅の修繕義務は大家さんにあります。
しかし、貸した住宅が故障して使用に支障が生じた場合に、
法律には「どの範囲まで家主に修繕義務があるのか」が明確ではありません。
そのため、ある一定の建物の修繕費を入居者に負担させる「修繕に関する特約」は原則として有効とされております。
一般的には、どちらに過失があるか、どのような理由で修繕が発生したのか、
建物のどの箇所の修繕であるかによって、修繕義務の有無が考えられています。
入居者による故意・過失がなく、経年劣化による故障であれば、大家さんの修繕義務があるが、その範囲はもともと設置してあった設備と同様の状態に戻す……原状回復が求められます。
より質の良いものや快適なものにする義務はありません。
■入居者への特約は原則として有効
入居者の修繕義務を、契約で特約として取り決める場合、その範囲を具体的に取り決めておくことが後にトラブルを起こさないためのキーとなります。
特約の一例としては、下記のような小修繕を入居者に負担させるというもの。
襖や障子の張り替え
水道の蛇口のパッキンの取り替え
電球の取り替え
しかし、特約を入れたからといって、大家さんの修繕義務はすべて無くなることはありません。
とくに住宅の基礎、柱、屋根、壁など建物の主要な構成部分やキッチン、風呂、トイレといった生活に必要不可欠な設備については、大家さんに修繕義務があります。
たとえ、入居者が自分で直したとしても、建物を利用するために必要な修繕費用は「必要費」となり、民法608条に基づいて、この必要費については、入居者より返還を請求される可能性もあります。